一向に釣れないヒラマサ釣りを通して思い出した、昔の事。

昨日の夜、薄れゆく意識の中で

むかしのことをふと思い出していました。

 

あれは、13年前。

 

ぼくは池袋の漫画喫茶でアルバイトをしてたんです。

バイトのメンバーはみんな同世代。

 

週3回はアルバイト終わりに

一緒に飲みに行くような仲の良さっぷり。

 

そんな楽しいアルバイトメンバーの中に

1人の女子大生がいました。

 

この日もバイトを終え、ぼくらはバイト仲間4~5人で

近所にある居酒屋でご飯を食べてたんです。

 

宴もたけなわ。

 

ぼくたちの話題は全員の恋愛事情についてでした。

下ネタも交えながら、バカバカしい話に花を咲かせていたタイミング。

 

その女子大生がしくしくと泣き出したのです。

 

当然みんなびっくりです。

なぜ泣いているのか。

 

ぼくらはその子に理由を訪ねます。


彼女
わたし、じつは、不倫してて。相手の人には奥さんがいるんです・・。


・・・って別に珍しいことでも何でもないがな

しかも自業自得やがな。

 

ぼくらは面白がっていろいろとデリカシーのないことを聞きました。

 

相手の仕事は?

年齢は?

やきもち妬かないのか?

奥さんの事は見たことあるのか?

どんな奥さんなのか?

罪悪感はないのか?

etc。

 


彼女
好きになっちゃいけないってわかってるんです。好きになったら辛くなるって。でも、やっぱり好きだから。


ぼくらは面白がり、あえて話を右に左に脱線させながら

最終的には「不倫はメリットよりデメリットのがデカい」

結果、やめた方が無難。という結論に達しますが・・・


彼女
じぶんでも思います。何してんだろ私って。

でも仕方ないんです。好きだから、追いかけちゃうんです・・。

苦しくて苦しくて。寝れないんです・・。


よほど溜まってたのでしょう。

彼女の悲痛な心の叫びは止まりませんでした。

 

この数日後、ぼくは就職が決まり

アルバイトを辞めることになります。

 

結局その白木屋が、彼女と会った最後でした。

彼女の恋愛がその後どうなったか知る由もありません。

 

しかし、いまぼくは薄れゆく意識の中で

当時のことを思い出しています。

 

そう。今のぼくにははっきりとわかるんです。

不倫する女性の気持ちが。

 

あの時、両目から大粒の涙をぽろぽろと溢した

水谷真紀さんの気持ちが。

 

いま彼女に会いたい。そしてこう言ってあげたい。

 

ぼくも同じだよ、と。

 

ぼくもいま、あの頃の君のように追いかけてるんだよ。

ヒラマサをと。

 

気づくとぼくは、居ても立ってもおられず

彼女宛にメールを打っていました。

 


件名:お久しぶりです。タクちゃんです。


宛先:水谷真紀


本文:お久しぶりです。お元気ですか?

そして覚えていらっしゃいますでしょうか?

 

13年前、池袋東口駅前の漫画喫茶で同僚だった

タクちゃんです。

 

この度、いまさらかと思われるかもしれませんが

過去に水谷さんを傷つけたことに対し

謝罪したくご連絡させていただきました。

 

あれは13年前の冬。

 

池袋西口駅前の白木屋でのこと。

あの時あなたは、不倫をされていました。

 

そして不倫についての苦悩をあなたは語られていました。

 

ぼくはそんなあなたの叫びを実に軽く捉えていた。

いや、むしろ自業自得だ、などと思っていたかもしれません。

 

不倫。

 

13年前の当時から「不倫=絶対悪」といったメディア報道は過熱していました。

 

その結果、不倫はクソだ。

 

というステレオタイプな社会風潮を鵜呑みにし

水谷さんのされている行為に嫌悪感を示して

あのような軽率な態度を取ってしまったのかもしれません。

 

誠に申し訳ありませんでした。

 

この度、なぜいまさら謝罪のメールをさせていただいたかと言いますと

ぼくにはいま、当時の水谷さんの気持ちがはっきりとわかるからです。

 

そうです。

ぼくもいま、追いかけています。

 

叶わぬ願いとわかっていながら。

 

毎日寝る間も削り、雨の日も、雪の日も、風の日も追いかけています。

 

海のスプリンター

ヒラマサを。

 

しかも、ショアから狙ってます。

(ショアというのは陸から、という意味です。)

 

正直、どこの釣具屋釣果情報にも、この時期

ショアからヒラマサが上がっているなんて情報はアップされていません。

 

決して成就しないであろう確率の方が

圧倒的に高いのです。

 

まあそもそも、そんな簡単にショアからヒラマサ釣れるなら

ここまで熱を上げてはいなかったでしょうが。

 

いったい彼にいくらつぎ込んでいるか。

お金も時間も。

 

これはおとといのぼくのスケジュールです。

 

  • 深夜1:00 仕事終わり
  • 深夜2:00 釣りの荷造り完了
  • 深夜3:00 釣り場へ車で出発
  • 早朝4:00 釣り場駐車場から釣り場へ徒歩移動
  • 早朝6:00 泳がせ用のアジ釣り開始
  • 夜18:00 ボウズで帰宅
  • 夜19:00 仕事開始
  • 深夜2:00 就寝

 

最近、毎日がこんな感じです。

 

早朝4時、吹雪の中、真っ暗な海沿いの

埋立地を1人釣り場に向かってると

 

当時あなたが言っていた言葉とまったく同じ

言葉をつぶやいている自分がいました。

 

俺、なにやってんだろう。と。

 

あの時の水谷さんはこのような気持ちで

不倫相手の方を追いかけていたのですね?

 

決して振り向いてはくれない

禁断の恋をされていたのですね?

 

その苦悩と、顧みない決意。

 

まさに梅宮辰夫・松方弘樹スピリッツ!じゃないかと!

 

さしずめ

東映ニューフェイス

スピリッツ!!

じゃないかと!

 

そんな当たり前のことを

いまさら理解した自分が恥ずかしい。

そして、情けない。

 

本当に申し訳ありませんでした。

 

追伸

もし水谷さんに現在気になる方がいらっしゃらなければの話ですが

今度東京方面に行く仕事があります。

 

ご都合よければあの思い出の白木屋池袋店で会いませんか。

 

そして、当時の思い出を振り返りながら

ヒラマサの刺身で、マッコリでも飲みませんか。

 

ちなみにぼくは現在、彼女募集中です。

 

お返事はメールではなく、ラインが助かります。

ラインIDをお伝えいたしますのでどうぞよろしくお願いします。

 

ラインID:takuchan64215874


彼女を思い

作ったメールです。

 

このメールを送ることできっと、ぼくと彼女の間に

信頼関係が生まれるであろうことを信じて「送信ボタン」を押しました。

 

そして、もしかしたらもしかして、

これがきっかけでぼくらの距離は急速に近づくかもしれない。

 

ひょっとしての2〜3年後。


彼女
あの時、メール送ってくれて嬉しかった。

あのメールがなかったら、私たちこうして2人きりで温泉にも浸かれてなかったと思うよ。

ぶっちゃけ、幸せ。


なんて会話が繰り広げられている可能性も

全然あるぞと。

 

はやる気持ちを抑え、ぼくはお風呂に入りました。

 

お風呂を上がり、自室に戻ると

”新着メール一件”の表示が。

 

彼女からの返事だ!!!

 

さっそくメールを開きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、つぎのヒラマサチャンスは3月。

それまでは別の魚種を狙うことにします。

 

最後までありがとうございました!

それではまた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA